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建築と社会を結ぶ―大髙正人の方法

広島の基町アパートの設計者大髙正人の展覧会。
11月に大学の東京研修とタイミングが合い学生たちと行きました。
基町アパートは建築ガイドをしているので今回の展覧会はとても良い勉強になりました。
基町アパートは人や街に優しいのです。大好きな建築で私はいつも愛のある建築と言っているのですが大高正人はやはり愛の 人でした。
「建築家大高正人の仕事」という本の帯に「まち・建築・生活者への愛情を美へと昇華させて建築家」と槙文彦は言われています。素晴らしい表現です。
大髙正人について語る方々の言葉からお人柄が伺えます。
建築家として社会への提案・挑戦・責任などなどひとつひとつ心にずしんとくるものばかり。
熱くなるものばかりでした。
展覧会はⅢ章構成。
第Ⅰ章 独立までの軌跡
大髙正人が前川國男事務所にいたときの仕事
興味深かったのは前川事務所の広島の世界記念聖堂のコンペ案。
これ丹下さんかと思ったくらい似ています。
「世界平和記念聖堂」(石丸紀興著)の写真の前川案とは違います。
この後に変化していったのでしょうか?
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パネル組立住宅プレモス72型。
庶民の住宅不足の解消という目的であり建築の工業化をを目指していた前川事務所の戦後の仕事で大高正人が担当。
戦後の住宅不足にいろんな建築家が応えているんですよね。
これは外観がプルーヴェの組立建築に似てるので鉄骨を木にしたものなのかなと思ってたけど全然違うものでした。

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第Ⅱ章 建築の美学と工業化への挑戦
坂出市人工土地は広大の学生が制作していました。
坂出の仕事から広島へとつながっていきます。
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広島の基町アパートはかなり大きいスペースでした。
大髙の作品の中でも重要なものですね。
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モデュロール君がいる!
この建築はやっぱりコルビジェのユニテの孫だな。
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「明日はまた広島に行く。
われわれを意のままになる図面書きと思う
市民の数々の注文があろう。
善意の内容を理解しない反対もあろう。
何よりも8.1haに3000戸という重荷に
私は押しつぶされそうになる。」
(広島市基町団地に際して 大高正人の言葉より)


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平和資料館も模型になっています。
軸線上に基町アパートがあるのがよくわかります。
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第Ⅲ章 都市と向き合い地域へ根ざす実践
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師匠の前川國男も闘う建築家というイメージですが大髙正人にも同じように闘っていたのだと感じました。
急速に都市化が進む高度成長時に建築家は社会といかに向き合うべきかと問い続けたことを証明する仕事に圧倒されそして感動がありました。

展覧会は明日2月5日まで。
国立近現代建築資料館



by yumily_sketch | 2017-02-04 18:34 | 建築 | Comments(0)
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